第2章

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変わらずここのもつ鍋はうまい。 というか、東京に福岡名物が進出しているけど、地のものは本場で食べるのが一番うまいとしみじみ思う。 「今彼女おるんか?」 唐突に訊いてきた。加藤らしい。 「いないよ」 「ほぉ~」 ニタニタしながら顔を覗き込んでくる。 「そーかそーか。奈美恵ちゃんが忘れられんか」 「そういう訳じゃないけど。仕事が楽しくて……気づいたらずっといないよ」 「ふ~ん」 訳知り顔の加藤。 「加藤は?」 「あ?俺は~、マミちゃんよ」 「マミちゃん?」 「おう、そうたい。最近行きつけの店があるんやけどの~、そこにめちゃめちゃかわいいコがおるったい」 「成程」 夜の世界のコに入れ込む癖は相変わらずだな。 この年にもなると周りは結婚して子供もいたりして、なかなか昔のような奴は少ない中、変わってない友人がいるのが妙に嬉しかった。
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