麗しのアンコール

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期末試験が終わり冬休みを待つばかりとなった放課後、生徒会室の扉が開かれ賑やかな空気が舞い込んだ。 「薫くん、僕、変なのに取り憑かれてる。こんなのいらない。薫くんにあげる」 書記の柳がブルーグレーの瞳をしたヘーゼルナッツのような髪色の少年と連れ立って部屋に入ってきた。高桐院の制服を着ているということはここの生徒なのだろう。 「お前ら、似たようなので連んでるんだな」 副会長の瀬戸原が言ったように、ふたり並ぶとアイドルユニットのようだ。身長も同じくらいで、ふたりして甘いきらっきらした顔立ちをしている。瀬戸原と会計の吉野は冷めた目で見慣れない状況を眺めている。 「カオル、会いたかった!!!」 『誰?』 そこにいる誰もが同じ単語を脳裏に浮かべる。 「フランス人のガブリエル。雅会の視察でフランスから来た時薫くんに一目惚れして、また会いたくて交換留学してきたんだって。今同じクラスなの」 「ガブリエルです。ガブちゃんって呼んでください」 「日本語上手だね」 薫が感心したように言う。 「日本のMANGA(マンガ)やドラマで勉強しました。日本の文化大スキです」 それはものすごく偏った文化だと思われるが……。 「ボク、フダンシ(腐男子)です!」 違うと思う。ガチでゲイだと思う。 「カオル!ビズ!!」 ガブリエルは薫の肩に柔らかく手をかけると、両頬にちゅっという音を立ててキスをした。 !!!!! 「ビズはフランスでは挨拶ですよ!男同士でも、仲良しとかお祝いなんかのときはします」 「口はつけないんだよ。ほっぺた合わせて口でちゅって音立てるだけ」 薫が言い訳をするように付け足した。いや、僕にそう聞こえただけなのか。 「なんでそんなの、薫くん知ってるの?」 「雅会のとき、フランス語の個人レッスン受けてたでしょ。講師が教えてくれた」 「それは、薫さん……」 僕が口を閉ざした後を瀬戸原が遠慮なく続ける。 「狙われてるんだな。その講師に」 薫は無邪気にきょとんとした顔でこちらを見ている。
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