三章:予定調和

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  一年生の身でありながら中枢を担う人物として取り沙汰される実力者。陽ではない、夜の空に瞬く瞳。 「”宮園”さんと言えば、現在たった一人しか確認されていない純粋なEP供給エフェクト保持者として有名ですね」 「せやな。魔眼の君の通名とは別に永久機関(エターナル)と呼称される事もあるその性質は味方が強力であればあるほど輝くんだで」 「一発でも必殺の弾丸を何度も撃てるようになるのは言うまでもなく大きなアドバンテージになりますね」 「二回戦を締め括ったドラゴンスレイヤーの氷堂とのコンボは圧巻の一言だったやで」 「そうですね。観戦していた方々には見えていたと思いますが、竜殺し先輩のAランクエフェクト『破滅の(アストレアストライク)』は、まるで流星群のようにエリアのほぼ全域に降り注いでいました。どうやら竜殺し先輩を中央に配置すればエリアのほぼ全域をエフェクトの着弾地点に指定できるようです」 「味方まで巻き込んどったなぁ」 「最終戦は『執行部Aチーム』との決戦になりますが、執行部に勝ち目はあると思いますか?」 「厳しいどすな。執行部が優位に立つには何よりも先に宮園を倒さなければならんけれど、相手も当然そんな事は想定しとる。相当な反抗に合うと見て間違いない。執行部が唯一優っている点があるとすれば協調性とかになるんやろうけど、作戦内容が筒抜けになってるなんて噂があるくらいやし……仮に猛攻を掻い潜って宮園をどうにかできたとしても『GwD』はまだ奥の手をキープしちょる」 「深淵(アビス)――我孫子さんですね。一年前、彼を超人たらしめていたAランクエフェクトを封印されてからは牙をもがれた獣のようになっていた筈ですが、ついに束縛を解く方法を見つけたんでしょうか?」 「掲示板ではハッタリっちゅう憶測も支持を得てるけどな、わしは俄然そっちを推すな。自由を獲得する手段を『GwD』が握っていて、いざという時の保険に控えさせとるんや」 「なるほど。長いこと勢力レースを制してきた執行部も今回ばかりは後塵を拝する可能性が濃厚ですね」 最後の一人が岩塊に押し潰される。高所から見下ろすアングルの映像には、遊園地の原型を留めていない廃墟が映っていた。 「嘗て無い激戦が予想される決勝戦は午後五時に開始される予定になっています。それでは皆さん、またその時にお会いしましょう」  ◇   ◇   ◇
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