Candied Birthday Full Course

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戒斗の左手はゆっくりと捏ねるように胸を這う。 脚の間を捕らえた右手は動かず、ただ叶多を縛っている。 左手は性急じゃなく色情もなく不機嫌さは消え、ただほぐすようで、叶多の躰からかまえていた緊張が解けだした。 飼い主に撫でられている犬のような感覚に浸かる。 アパートと違って広いバスタブときれいな景色。 格別なのは戒斗の腕に包まれているということ。 言うつもりだったことは頭のなかから消え去り、ふたりとも黙ったままというのが眠りのなかにいるようで、叶多はリラックスしきって微睡んだ。 どれくらいそうしているのか、戒斗の手はずっと右側の胸を撫でまわしていて、時間がたつにつれ、だんだんとそこに熱がこもる。 微睡みは陶酔に変わっていく。
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