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「担々麺が食べたい」
昨日の、いや、今朝の二時半をすぎるまで、諦めきれなかった。
どれだけ、コンビニへ行こう、近所の中華料理屋へ駆け込もうか。と考えた。
『口がピザ』
という意味が始めて分かった。
『担々麺』
私の頭はそれ以外、考えられないでいた。
元々、食事にかんして、欲求が強いほうではなかった。バランスよく食べられればいいと、自炊生活をメインですごし、そこで自分好みの味を覚え、あれこれと試行錯誤するのが好きになった。
会社の飲み会へ参加しても、たいした主張もなく、皆が喜びそうなものを頼んできた。流行ものの店の前で、長蛇の列を見るたびに、そこまでして食べたいと思えるものがあるということに感心さえしていたのだ。
怠惰といわれようと、わざわざ化粧を直し、お洒落をし、ヒールの高い靴を履いてまで
なにかを食べたいとも思わない。
そんな三十三年を生きてきたのだ。お一人様万歳である。
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