Feast(最後の祝宴)- 序章

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これを背中で察知して絶妙に声をかける。会長の幼少時代から仕えてきただけある。 二代目の時代に舎弟となり、会長にずっとついていたと聞く。 「洋次、サンキュ!」 理玖はこの時から肩の力が抜け、ふぅと一息息を吐くと颯爽と歩みを進めるのだった。 一方、洋次は胸を熱くしていた。 よくぞここまでお育ちになられた。 今やこの世界で知らないものはいない美しい極道兄弟として周知されるまでになった。 ある日、突然組長が連れてきた少年・・・あの小さかった無表情な子供がここまでになるなんて・・・洋次は目頭に熱いものがこみ上げるのを禁じえなかった。 ホテルマンに誘導されてドアの前に立つ。ここからは戦場だ。 ここで撃たれてしまう可能性もある。 「洋次、明日もまたよろしくな」 明日もまたここで会おう。 そんな希望も含めて、そんな言葉を投げかけた。 「もちろんです」 んだ 力強い答えが返ってきたからちょっと笑ってしまう。 こいつらのために俺は生きていける。 「兄ちゃんはここに来ないの?」 「中で待っておられますよ」 「そうか。今日は俺のお披露目だからね」 「きっと今か今かと待っておられますよ」 「あの人の紋付姿そそられるんだよね」 「今夜から三日初夜ですよ。若も若い盛りとはいえかなり体力を使いますよ」 「なにそれ。初めて聞いた」 「龍仁会では婚礼の際三日間通しで宴が催されます。その夜はずっと嫁を抱き通すという慣例がありまして」 「極道らしい馬鹿な慣習だな」 「しかし、それが慣習ですので」 「ま、俺には有難いけど・・・兄ちゃんはたまったもんじゃないな」 「四代目も体力には自信ある方なので大丈夫でしょう。但し、組長を満座くさせられるかどうかはあなた次第ですけどね」 ニヤニヤする洋次の売り言葉を買う。 「組長を満足させて三日目は立てないくらいにしてやるよ」 「ならば、最後の宴会は私が適当に仕切らせていただきますよ。主役なしで段取りしておきます」 「ああ、そうしてくれ」 扉が開いた。 さあ、戦場が俺を呼んでいる。明日、またその次も生きるために今日を切り抜ける。 あの人とともに・・・・・。 本を変えます。 また『恋の輪廻-6』でお会いできますように。 強制非公開にならなくて1冊終えられて嬉しいです。 まぁ、運営も眼中にない作家だからかなww
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