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「おやすみ。」
そう言って、地球の居住者たちは布団という布にくるまり目を閉じる。至極、幸福そうな顔で。
これは睡眠という営みだそうだが、私には無駄なものに思えてならない。
私の故郷では皆、生まれた時から睡眠をコントロールされる。
私の祖先はこの地球に住んでいたことがあるそうだ。
地球のあらゆる先進国が資源を食い尽くし、さらに少子高齢化による破綻を迎えるまでは。
破綻した先進の国々は、資源の不足を言い訳として、新たな土地ーーもとい星で国家のリセットと再生を行うことを宣言した。
わずかその数年後には人類は地球を飛び出し、資源が豊富で地球と似た環境の惑星に移住したという。
そしてまもなく、同じ過ちが起きないようあらゆる技術を駆使して、完璧に命の生産をコントロールすることに成功する。
人々は生まれた瞬間から昼か夜の活動時間が割り振られ、成人すると毎年生殖のための卵と精子を提出することが義務付けられた。
集められたそれらは最も良い組み合わせで交配され、受精卵は人工カプセルの中で胎児になるまで育てられる。
生まれた子供は一括で施設で育てられ、成人するまでそこを出ることは許されない。
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