いじめと本音

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ゲンタは、夏休み明けからたびたび小学校を休んでいる。 息子のリョウからそう聞いたのは、9月の下旬だった。 「病気?」と訊くと、彼は首を傾げた。 どうやら、学校を休んだ日も、ゲンタはよく公園に遊びに来るらしい。 元気にサッカーやドッジボールをしているそうなので、体に問題はないのだろう。 10月の初旬になると、ゲンタの母親と親しいヒロシのママから、ゲンタはサボリ癖がついたのだと聞いた。 同級生でよく一緒に遊ぶ仲だから、彼女はとても心配していた。 6年生からこんな調子じゃ、中学生になったらどうなるのかしらと、眉間に深いシワを刻んで。 だが、欠席が習慣化してくると、周りも次第にその状況に慣れてしまう。 「今日はゲンタ来た?」と帰宅後の息子に確認していたのは、いつ頃までだっただろう。 11月に入った今、私のゲンタへの関心は薄れ、息子もまた何も話さなかった。 ヒロシのママも同様なのか、道で会ってもゲンタの話題は出なくなった。 ところが今日、私は久々に彼のことを思い出した。 学校から帰ってくるなり、リョウが深刻な面持ちで、こう言ったのだ。
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