入学式

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今年の春から大学生になる俺と尚人は入学式のため、大学の講堂で椅子に座って長い話が終わるのを待っていた。 式が終わると新入生だけが講堂内に残され、男女別になっている席もそのままに、これから何が始まるのかと疑問に思う。 「今からお前らにあることをしてもらう。出来なかった者、異常が出た者はすぐに検査を受けてもらうことになる。今現在隣にいる者と向かい合え。そいつがペアの相手だ。まずは握手をしようか。」 俺の隣にいるのは尚人であり、うまく反対側とのペアにはならずにすんだようだ。 尚人がペアの相手なら何をやらされたとしても何の問題もない。 尚人と握手をして次の指示を待つことにした。 「今からいうことが出来ない者、自分・相手のどちらかにでも異常が出た者はすぐに検査に連れて行く。では始めよう。ペアの相手と濃厚なキスをしてもらおうか。しっかりと相手の口内を舐め回すように。」 はぁ?あいつ何言ってんだ? 周りもざわつき始め、講堂内は同性同士とのキスに、戸惑いを隠せないようでなかなか動かない。 いったいなぜこんなことをする必要がある? 思い当たることはあるが、俺の考えが当たっているとすれば、この大学は全てではなくても研究者が実権を握っているといえる。 「怪しい検査をさせられるくらいならしておいたほうがいい。やるか。」
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