206人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「お前…バカだな!」
呆れる様に全裸男が緊迫した状況下の中、私に向かって言った。
その通り…コールも鍵もきっと此処にいる悪霊の仕業。
私はそれにまんまと引っかかったのだ。
「……」
何も言い返さない私を見て、全裸男は溜息をついた。
「まだ、シカトかよー!そんなんだから捕まるんだよ。教えてやろうとしたのによー」
「…?どういうこと?」
「此処にはヤバい奴が居るって、廊下で教えようとしたけど、お前ずっと話し聞いてくれなかったろ?」
「あっ!」
確かに、何か言いかけてたけど、私が怒りに任せて聞かなかった。
「それでも、教えてよ!」
完全なる逆ギレだ。
でも、こんな状況下で冷静ではいられない。
「はあー?!お前!馬鹿か!」
「何よーーー!」
「そんな言い草あるかよ!」
パニックになってたのかもしれない。
普段はこんなに声を荒げた事ないけど止まらなかった。
二人で言い争っていた時ーーー
ーーバン!!
二つ目の個室から大きな音がして、二人の会話は止まる。
そうだ、こんな事してる場合じゃない。
逃げないと…
「キィィィィィ…」
誰もいなかった個室の扉がゆっくりと外に開いた。
ゴクッと生唾が喉を流れる。
ヒタヒタ…ヒタヒタ…
最初のコメントを投稿しよう!