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夢を喪ったのは渦の中だった
覗き込んだ瞳に透明被さった
灰汁を掬うような会話に焦がれて
廻り変わる関係性と朱に染まる頬
無邪気な笑い声はカモフラージュで
砕けたスピーチスタイルは護身の為
呵責に傷んだら水脹れを囃しては
甘い子守りは期待を急かしていた
二人で逃れる口実のタイムマシーン
閉じたコミュニケーションも効果薄
煮える前に冷めていくから波打たず
一線を画しては曖昧に陽炎を祈った
飽かずに積み重ねた口約束はまだ
交わらない視線の先に宿っていて
灼熱に融ける目映い光に
捧げる熱は残っていない
射竦められるのも変化と捉えて
強請られるのすら快感に繋げた
逞しさ脆さ慈しみ企みとは絶縁して
この先も気付かずに接したかったよ
夢も、詞も、理も棄ててしまった
後は道半ば、二人で歩いていこう
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