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それなのに壱琉は俺の手を掴んでそれさえもさせてくれない。
「もう何もしねぇから。
俺が悪かった。
だから今日は泊まってけ。な?」
「……やだよ」
「頼むから。俺さ、お前が隣にいなきゃ寝れねぇの」
「調子いいこと言ってんじゃねぇよ。
じゃあ今までどうしてたんだって話だろ」
「そんなの、今までは知らなかったからだろ。
でも、お前と一緒に寝るようになったらもう一人じゃ寝られなくなったんだよ。
だから頼むって」
まだ返事もしていないのに、壱琉は俺を腕の中に引っ張り込んだ。
そして俺もそこに大人しく収まってしまうのだから世話なかった。
「俺は抱き枕じゃねぇよ」
「そんなこたわーってるよ。
亨は亨だろ」
こうしてると何か安心するんだ、と壱琉の腕の中に閉じ込められた。
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