1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
22世紀の地球に語り継がれる物語
宇宙人の侵略から、平和を取り戻した歴史
小学校の先生が、子供たちに話し始めました
ある日突然やって来て世界を支配した宇宙人たち
極上の美味を差し出せと言ってきました
地球から極上の美味一つを奪うかわりに解放してやる
極上の美味を奪われることを惜しんで、極上でないものを差し出してもわかる
地球人誰もが極上と納得できるものを持って来い
タナカさんはトロの握りだと言いました
チンさんはふかひれだと言いました
マリオさんはピッツァだと言いました
フランソワさんはフォアグラだと言いました
みんな、よその料理が極上に選ばれるのは納得がいかないのに、どうぞどうぞと言われると奪われるのが惜しくなって譲り合ってしまいます
このまま話がまとまらなければ、地球は侵略されたままになってしまいます
世界の人々は、地球を救うためなら悪魔の知恵も借りようと考え、悪魔を呼び出しました
悪魔は事情を聞くとニヤリと笑い、こう言いました
極上の美味は他人の不幸に決まってるだろう
タナカさんも、チンさんも、マリオさんも、フランソワさんも、みんな電気に打たれたように痺れ、そして納得しました
他人の不幸は極上の美味です
宇宙人は地球人を解放し、かわりに極上の美味、「他人の不幸」を奪っていきました
それは悲しいことでした、でも奪われてみたら悲しくありませんでした
世界はそれまでよりも平和な世の中になりました
世界を救った悪魔は神様と呼ばれるようになりました
おしまい
最初のコメントを投稿しよう!