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俺は今、家族や一族の者達を連れて、地下の奥深くに逃げ込もうとしていた。
俺達は地上に住む市民達に、ドブネズミと蔑称で呼ばれる貧民。
御天道様を見ることを許されず、日の光が差さない地下を這いずり、地上に住む市民達が出したゴミを漁る存在。
俺が今行動を共にしている一族の族長になれたのは、俺が貧民1世だったからだ。
市民権を剥奪され貧民に落とされるのは、この星を統治する政府に税金を納める事が出来なくなった、市民とその家族。
一度貧民に落とされると、未来永劫市民に戻る事は出来ない。
俺の父親が事業に失敗して税金を滞納し、両親や兄弟と共に貧民に落とされたのは、俺が11歳の誕生日を迎えた翌日だった。
それから1年。
俺が12歳の誕生日を迎える前に、家族は全員栄養失調で死んだ。
俺がただ1人生き残る事が出来たのは、貧民に落とされる前から、家族全員が呆れる程の悪食だったからだろう。
父親の曾祖父は若い頃放浪癖があり、放浪中食える物は何でも喰う悪食だったらしく、俺はその血を受け継いだらしい。
生きるために地下を走るネズミを捕食し、地上の市民が出す生ゴミを食した。
家族にも、それらの手に入れる事が出来た食料を食べさせようとしたが、誰も受け取らず、次々と衰弱死する。
ただ1人生き残った俺は、俺の前に族長をしていた男に拾われた。
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