奇食

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餓鬼の頃から良くない遊びが好きだった。 父親や祖父の煙草、酒に手を伸ばしたのは小学生の時。中学の頃には両親の財布から金をくすねて遊ぶ金にしていた。 脱法ハーブを覚えたのもその頃。 だがほとんどは楽しい効き目何てない。 バッド・トリップして吐き戻したり、せいぜい訳の分からないサイケデリックな色彩が軟体動物の様にぶよぶよ蠢くのを見るだけ。 ついに放蕩息子と勘当されて、実家の戸籍からオレの籍は抜かれている。 要するに血の繋がった親も兄弟も居るってのに、オレは天涯孤独の身な訳だ。 今では日本に居るんじゃ暮らし難くて、各国をうろつき回るバッグ・パッカー紛いの放浪生活をしている。一応は職に付いているがね。 名目上はフリーのカメラマン。 安いデジタルカメラを携えて、気の向いた地域をうろついた。 もっぱらは大麻を合法的に吸える地域だ。 大麻は吸うと多幸感に包まれる。日本じゃ麻薬と別の法律で取り締まられているが、それは身体的依存が無いからだ。それに食う物を何だって初めての極上の味に変えてしまう。
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