85人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
「一人で町に出たくないだろ?」
「……」
伊東の言葉に芥が沈黙する。
すぐ追いかければ間に合ったかもしれないが、駒と別れてから少し時間が経ってしまっている。今から追いかけても、駒はもう山を下りている頃だろう。
「今日は気が進まないから明日俺が持って行く。それでいいだろ?」
「いいんですか……?」
「じゃないと、お前一人で行きそうだからな」
「ありがとうございます……きっと、その方がいいんでしょうね」
「ん?」
最後の方の言葉を聞き取れず、伊東が聞き返すと、芥はなんでもないですと言って首を左右に振った。
最初のコメントを投稿しよう!