第十七章 消せない呪縛

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…………勝ったな…………  そもそも、長塚と久保では勝利条件が違う。長塚の勝利はもちろん安達蒼馬の奪還と脱出。それに対し、久保は直属部隊が退路を塞ぐまで持ちこたえさえすれば勝ちなのだ。  唯一危惧しなければならないとすれば特化の三人だ。でも、すでにサークルから出た後なのか、見渡す限り三人の姿はない。  当初の目的だった内海は逃したが、代わりに長塚が抑えられるのならば十分すぎるくらいだ。長塚がいなければ今の特化は機能しない。篠崎と八木沢が衝突して終わりだ。  でも──── …………なんだ?…………  なにかが引っかかる。だが、それがなにかがわからない。光がはれたサークル。それを見れば見るほど、ひっかかりが広がっていく。 …………光…………そうか!…………  頭上を仰ごうとした宮原だったが、本拠地ビルから響いた声に、視線を声の方へと向ける。  そこには、対峙した久保と長塚と、呆然と立ち尽くす安達蒼馬の姿。そして、すぐ横に倒れ込んだ黒田の姿。 「ッ!」  さらに、その黒田のすぐ横には、刀を構える中林華夜がいた。
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