第十七章 消せない呪縛

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 久保の報告に、宮原はふっと笑みを浮かべた。 …………だから、甘さは弱点になるんだよ………… 「本拠地ビル前に迎え!長塚を抑えろ!」  長塚は見捨てるべきだったのだ、捕らえられている安達蒼馬を。意表を付いてうまく助け出したとしても、拘束された状態の安達蒼馬は足手まといでしかない。久保がどうやって拘束しているのかわからないが、それを解いている時間が果たしてあるのか。その隙に捕まって終わりだ。  そして、もし長塚が捕まれば、他の特化も長塚奪還に動く可能性がある。八木沢なら見捨てる決断を下せるかもしれないが、即座に判断するのは難しいだろう。 …………もちこたえろよ、久保…………  直属部隊が安達蒼馬達を取り囲み、逃げ場を奪えばこちらの勝ちだ。そこまで久保が持ちこたえてくれれば。  その時、サークルを覆っていた光が薄れ、本拠地ビル前の光景が見えた。  そこには、安達蒼馬を確保している黒田の姿と、そして、刀を交える久保と長塚の姿があった。
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