第十七章 消せない呪縛

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 打ち合っていた刀。それを弾いたのは長塚の方だった。久保の刀を弾くと同時に長塚は後退し、間合いをとる。けれど、久保はすかさず空いた間合いをつめ、長塚へと向かって再び刀を繰り出す。長塚は再度弾くが、久保は攻撃を緩めない。  一見すると久保が優勢だが、それは、久保に残された唯一の道だということは、宮原もわかった。  反作用エネルギーがよめないという弱点を補うため、久保は刀もリリースライフルも、相当な訓練を積んだ。それでも、実力は長塚の方が上だろう。ただし、それは刀とリリースライフル両方という、総合的な力に対してだ。長塚はリリースライフルの腕に関しては右に出る者がいない。その分、戦闘で刀を使うことは少ない。刀のみの戦いでならば、久保にも勝機がある。だから久保は、間合いを空けさせないようにしている。リリースライフルを使用させないために。
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