第十七章 消せない呪縛

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「安達蒼馬を逃がすな!」  一気に覆された状況に、宮原は声を張り上げた。  光が消えたのは、中林華夜に限界が来たからだと思っていた。でも、違った。地上へ降りるために光を放つのを中断しただけだったのだ。  楽観的な予測をたてた自分にいらだつ宮原だが、そんな時間はないと本拠地ビルの方へと向かう。が、すでに遅く、すべては一瞬で終わった。  黒田を刀で吹き飛ばした中林華夜は、そのままの勢いで久保へと向かって刀を繰り出した。横からの突然の攻撃に、それでも久保はぎりぎり避ける。 「蒼馬を!」  中林華夜の指示に、長塚は安達蒼馬の元へ向かう。次から次へと繰り出される中林華夜の猛撃を退きながらかわし続ける久保に、長塚を止める術は残されていなかった。  最後の可能性は数で押すこと。取り囲むように集まった直属部隊。けれど、中林華夜の左手から放たれた激しい閃光が再びすべてを覆いつくす。  そして、光が弱まったそこに、中林華夜も、長塚も、安達蒼馬の姿も、消えていた。
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