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騒然とするサークル。宮原は湧き上がりそうになる感情をぐっと押し込めると、代わりに声を張り上げた。
「被害状況を確認しろ!けが人はすぐに本拠地ビルへ運べ!」
重苦しい空気を吹き飛ばすように、宮原は次々指示を出す。まだだ。こんなところで立ち止まってはいられない。
黒田を始め、直属部隊に怪我人が数名いるようだが、重傷者はいないようだった。これならすぐに動き出せる。そう思った宮原に思いもよらぬ報告があがる。
「中林支部長がいません!」
「!?」
いつの間に?中林達は別の隊員に見張らせていたはずだ。今の騒動の間に?でも、そもそも中林は反作用エネルギーの吸収で負った負荷が回復しておらず、一人で逃げる体力などなかったはずだ。誰かが手助けした?となると特化しかいないが、中林と特化の間に接点などなかったはずだ。
「突然現れた男に連れ去られました」
「男?八木沢か篠崎か?」
「いえ、違います」
「ならば、誰だ」
けれど、その場に居合わせた隊員達はその男が何者かわからないのか、答えが返ってくることはなかった。
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