気が付けば、あっという間に……

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耳に残る心地いい子鳥のさえずり 肌を伝う暖かく優しい風 真っ暗な世界に差し込まれる陽の光に 俺は目を覚ました 重くのしかかった瞼を懸命に押し上げる しかし、目を開けるとそこには…… ………ケーキ?…… そう、机の上に置かれていたのはイチゴのショートケーキ……しかも2つ 俺は考えた 一人暮らしの1LDK この部屋でショートケーキが2つ? 俺は元来辛党だ、甘党ではない そんな人間がショートケーキを2つも食べるだろうか ゆっくりと身体を起こし、状況を整理する たが、またしても事件が起こった 起き上がると同時に襲い来る頭痛、吐き気 グラグラと揺れる頭に気持ち悪さが止まらない そんな時、ふと視界に写ったのはテレビ 自分が酔ってソファーで眠ってしまったのだと この時気付いた 昨日何があった?…… そう自分に問いかけてみるも答えは出ない 一先ず、テレビをつけてみることにした 情報が少な過ぎる 始まったのは日曜朝のニュース番組 時刻は丁度5時半を回った所だった また1つ疑問が浮かび上がって来る 日曜日……って事は昨日は土曜日か……飲み潰れてるのはそのせいだな………でも、昨日って…… そっと視線を落とすと 床に転がるスマホが目に入った 操作途中に寝落ちしていたのだろう 画面には作りかけの文章が スマホを手に取り、軽く操作する 手帳アプリを開くと俺は愕然とした デッ……デートだった…… 土曜日、つまりは昨日、俺は彼女とデートしていた 彼女との出会いは大学院の頃 同じ学部を専攻していた セミロングの綺麗な黒髪が特徴的な彼女は 天真爛漫で、いつも明るく笑っている そんな姿に心惹かれ ダメ元で卒業間際に想いを告げると見事成功 もう3年の付き合いになる 互いにもう社会人 会う機会は少なくなったが良好な関係は築けていた なのに………なのに俺は…… その時、頭を過ぎったのは先程の文章 慌てて操作し、メッセージ画面に戻る 画面を見た俺は愕然とした 震える手からゆっくりとスマホがこぼれ落ちていく 再び床に転がるスマホ メッセージ欄にはこう記されていた 昨日は突然ごめん 自分でもなんであんなタイミングで言ったんだろうって後悔してるんだけど 文章はそこで途切れていた
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