第1章

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再び開かれたその瞳に映る自分の顔を見つめてしまった。 不意に博雅が立ち上がる。 「博雅?」 晴明が博雅を見上げた。 その顔が険しいのに驚く。 「用を、 思い出した。 帰る」 「博雅!おいっ!」 慌てて立った晴明が、 身を翻そうとした博雅の袖を捕えた。 その腰に手を回して引き寄せ、 顔を 覗き込む。 「なに怒ってるんだよ」 「別に……怒ってなぞいない」 そう言いながらも、 博雅の唇は少しへの字になっている。 「こんなに澄んだ月の夜なのに、 独りで酒を飲んでいろと言うのか?」 「……式がいるだろう」 顔を背けて言う博雅のうなじを目の前にして。 その表情が見たいと晴明は思った。
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