エピローグ④《桜木真司&水瀬レイナ》

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それから、真司達はお互いの近況を報告しあった。今年は皆、高校三年生になったので、やはり受験や就職のことで不安を抱えている者が多かった。だけど、自分の夢を語らうみんなの表情は、どこか生き生きとしていた。 「まさか、あの小嶋が弁護士を目指してるとはな」 真司は人気(ひとけ)のない展望台の上からしみじみと呟く。あれから、自分の短所でもあるコミュ症を治そうと、学校では積極的に話すようになった真司だが、未だに少し慣れない。『トイレに行く』と言って、ここまで逃げてきたのだ。 「俺もうかうかしてられないな。頑張らないと」 ちなみに、これは余談になるが、半年前に泉が宣言した通り、田中勉は解放された次の日にあっけなく逮捕された。今となっては、泉のことを『ご主人様』と慕い、二人は仲良く獄中生活を送っている。と、先日そんな内容の手紙が泉から届いた。……田中勉の身が少し心配である。
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