姿

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陽が西の空に傾き、通りの電信柱が長い影を伸ばす。 柊平と夜魅は、狭い間口の前の短い橋の上でしゃがみ込んだままコソコソ話している。 「柊平こそ、何してたのさ。いつもだったらとっくに来てる時間じゃないか!」 「じいちゃんのところに寄ってたんだよ!お前が何だか分からないとか言うから。」 「分からないのは柊平も一緒だろ!」 先週末に突然知らされた刀の存在。 自分の血筋。 幼い頃から素質はあったらしいにせよ、柊平にはまだ分からないことの方が多い。 そんな柊平にとって頼りは夜魅だが、それに何だか分からないと言われてしまっては、病床の祖父に頼らざるを得なかった。 分からないからと言って、放ってはおけないのだから。 ふと、しゃがみ込む柊平と夜魅の上に影が指す。 「あんたらそんなとこで何しとるねん。」 「お前、こないだの。」 見ると、先日訪ねて来た白い犬が、柊平と夜魅を覗きこんでいる。 その後ろには、やはり先日紅白狐を連れてきた、五百蔵 悠真の姿があった。 「悠真!遅いよ!」 夜魅がまた不満そうに小声で訴えた。 「ごめん。さっき壮大朗さんからも電話があって。」 困り顔で謝る悠真の言葉に、夜魅は首を傾げる。 「壮大朗から電話って?」 「タヌキを見て欲しいって電話をくれたんだよ。」 ふわふわと悠真が答えた。 黒髪の純日本人風な柊平に対し、色素の薄いくせっ毛の悠真は、相変わらず存在が曖昧に見える。 「ん?”も”ってことは夜魅、お前も呼びに行ったのか?」 柊平の問いかけに、夜魅はバツが悪そうに視線を逸らす。 「なんや。若さんに黙って来てたんか。」 コマが呆れたように夜魅を見た。 夜魅は小声でうるさいなと言ってむくれている。 「で、柊平さん何してるんですか?」 悠真の言葉に、柊平と夜魅は薄く開いた窓を同時に指差した。
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