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秒針の音が嫌に耳に付いて、目の冴える夜はなかったろうか?
おやすみ、をとっくに妻へ告げて横になったベッドの上、秒刻みの音が嫌に気になって。
夢現の中、幾度も寝返りを打つ。
チク、タク、チク、タク……。
確実に過ぎて行く時。
明日は早いのに。
チク、タク、チクタク、チクタク……。
何時もは気にもならない音が、今夜に限って気になるのは何故か。
ぼやけた意識で耳を澄ます。
チクタク、チクタク、チクタク……。
確実に同じ間隔で時を刻む筈の音は、次第に駆け足になって行く様で。
気のせいでも、自分の呼吸も速まって余計に寝苦しくなる。
チクタクチクタクチクタク……。
「ああっ」
耐えきれなくなってベッドの上に起き上がった。
仕方がない、一度起きて何か温かいものでも飲もう。
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