第1章

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伏せられた小さな黒子のついた瞼が、 震える。 母屋に設えた帳台(ちょうだい)の中、 帳(とばり)越しの燭台の灯が白い小袖の背中を浮かび上がらせる。 縹(はなだ)の狩衣を纏ったまま、 前だけを寛げて晴明が座している。 その膝に頭を預けて褥(しとね)にうつ伏せる姿。 乱れた裾から伸びる白い足。 伏せた顔に晴明が手を伸ばす。 その顎を捉えて仰のかせ、 濡れた唇を親指で拭った。 うっとりと瞼を閉じるその頬を擽りながら、 もう片方の手で小袖の襟を抜く。 肩から小袖を落としながら、 晴明がゆっくりと上体を被せていく。 寄せられた唇に、 すべらかな肌が愛撫の予感に慄いた。
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