第3章

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「??ッ!」 と、 後頭部を思い切り殴られた晴明が、 薫と額をしたたかにぶつけた。 額を押さえて振り向くと、 胸元をはだけたままの博雅が手に蝙蝠(かわほり)を握り締めて立っている。 その顔が紅潮しているのは怒りのせいらしい。 「……ひろ……」 「その手を放さんかっ!」 薫の腰に回していた腕を蝙蝠でまたぴしりと叩かれて。 晴明が慌てて手を振り解く。 「お前はいったい何をやってるんだ?ええ?」 晴明の背後に立っている薫に目をやる。 「なぜ俺の顔なんだ?そもそも式は抱かないんじゃなかったのか?」 氷室もかくやと思わせる冷たい声で言われて。 言い訳のできない晴明が唇を開いては閉じる。
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