つくも

10/21
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
コンビニで、適当な銘柄のミネラルウォーターを3種類ほど購入する。 「そんなにいるか?」 店の外で待っていたコマが、呆れたように言った。 「いや、もしかしたら、合う合わないがあるかもと思って。」 「なんでも一緒や思うけどなぁ。」 人気のない校庭を見ながら、悠真とコマは来た道を戻る。 「コマ、小梅さんちに他の付喪神はいないのかな?」 ふと、思い出したように悠真はが言う。 「どうやったかなぁ?」 コマは首を傾げている。 付喪神たちは実際、というか、茶碗を見ても分かるように気ままに過ごしている。 お互いが干渉することはあまりない。 コマは割と社交的だと悠真は思っていたが、他所の家の付喪神にまでは興味は薄いらしい。 「行ったら分かるやろ。そもそも、櫛の付喪神がおるんとちゃうか?」 「う~ん?小梅さんが櫛を割ったの家の中なのかな?」 悠真が首を傾げる。 「櫛ゆーたら、家の中で使うもんやろ?」 「そうだけど、もし、家の中に櫛の付喪神がいるなら、じいちゃんに相談するようなこと、起こらなかったんじゃないかと思って。」 隣を歩いていたコマが、ひらめいたように悠真を見上げる。 「確かにな。本体があるんやったら、折れたかてそこにおるわ。」 「だろ?もしかしたら、探しに行くことになるかも。」 そう言うと悠真とコマは、のんびり歩いていた足を、慌てて速めた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!