予祝の行方

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少しの沈黙があった後、昴が徐に切り出した。 「…ごめん、本当に悪かった。加奈との事をずっと隠して、謝れていなかった。兄貴を裏切った事…」 「それはもう良いんだ。あいつの事だから昴の事も狡猾に丸め込んだんだろう?負い目を感じなくて良い、昴が罪悪感に苦しむ必要は無いんだよ」 二人の和解を確認したところで、足音を立てないよう注意を払いながら階段へと戻った。 琢磨さんの思いは、私が知るべきではなかった事。昴にだけ打ち明けたというのは、つまりはそういう事なのだ。 この場限りの秘密として、記憶にそっと蓋をした。
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