昭和の人間

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もう、いい年なんだから、そんな泣きそうな顔はするなと思ったが私も肝っ玉と呼ばれる女だ。 私は奥歯をぐっと噛み締めてタオルに包まれた子猫に近づき抱き上げた。 「獣医に行くよ」 私がそう言うとヨシが急いで電話帳を開き、近くの獣医に予約の電話を入れた。 「ムネ、行くよ」 ムネは不安そうに頷く。 その道のりでこの子猫は、生まれたばかりだったが母猫がどこかに行ってしまい、弱っていたのをムネが世話をしていたのだと知った。 さっき見に行ったら、ぐったりとしていたから慌てて家に連れてきたという。 「コロって名付けたんだ」 やはり、不安そうな顔をするムネだったが、私は猫に対する恐怖より命を大切にしたムネは、やはり優しいなと嬉しさが勝った。
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