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家に向かう電車の中で、和希はスマホの画面とにらめっこをしている。
水野と連絡を取ろうとしたが、電話には出ないし、メッセージにも応えない。
もう愛由美との事を話す気満々なのだろうと想像できた。
(と、なると)
自分から口説いたと開き直るのは簡単だった、それは事実でもある。
でもそれは愛由美の為にならないと判る、教え子と交際した事実は変わらないからだ。
(……どうするか)
家に着くと、浩一がニヤニヤしながら出迎えた。
「よう、不良息子。無断外泊で朝帰りとはやるなあ」
和希はニヤリと笑って返す。
「……兄ちゃん、頼みがあんだけど」
浩一は、さっと両耳を塞いだ。
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