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「落ち着いて、これは弟くんに対する嫌がらせなんかじゃないの。 この行動は、よく親猫が子猫に餌の取り方を教える行為と同じと思っていいわ」
優しい手が、オレの背中をさすり諭すように言う。
「えさ 取り方?」
「そう、おそらくお兄さんは弟くんがあまりにも『獲物』を取るようなそぶりを見せないから心配して『狩り』の仕方を教えようとワザと半殺しにしたのを持ってきたの」
この、凪子先輩の解説にオレは少し思い当たる節があった。
この前、あまりのキモさに恐怖より怒りが優ってスリッパでゴキブリに止めをさしたオレを見ていたアイツはどこか様子が違っていたような気がする。
…でも、そのころから帰るたびに『あにゃる』攻撃が増したような…?
「ゴキ…の件は、分かりましたが…どうして…どうして…そのっ…」
「知りたい?」
またもや、凪子先輩はにゅふふふっと猫のように笑う。
「はい! 兄とか弟とか置いといて、アイツは大事な家族です! …もう、長くないかもしれない…今更…今更だけどアイツがオレに何か伝えたいんなら知りたいし…それがどんな事だろうと叶えてやりたいんです!」
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