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それから仕事の話をしながら暫く車に揺られていると、いつの間にか辺りは高級そうな家が立ち並んでいた。
緊張はするが、こういう家だろうと想像はしていたので、まだ冷静に居られた。
「着いた」
だが神島仁の声に神島家を確認しようとした私は、目の前に現れた建造物に呆然とする。
「……は?」
建っているであろう家はここからじゃ全く確認出来ず、侵入者をはばかる大きな威圧感漂う門しか見えないから。
監視カメラが付いているのか、そのまま止まっていると数秒後に自動で門が開いた。
そしてその門が開くとようやく家が見えたのだが……
「!?」
やっと見えた家は、家なんて言葉じゃ言い表せないほどの大屋敷。
それより玄関どこ……?
門から家まで何メートル…いや、何十メートルあるわけ……?
門から玄関まで車で移動する家なんて聞いたこと無いんですけど……。
私の目と口は開きっぱなし。
そんな私を置いて車は中へと進み、神島仁が玄関らしき前に車を停めた。
「ちょっと待ってて」
いつもならドアを開けて貰うのも拒否するが、あまりの御屋敷の凄さに圧倒された私は素直に神島仁に従う。
そして車から降り立った私は間近で改めて建物を見ると神島家の凄さに立ち尽くす。
階段を三段上がった先に見える玄関の扉はこんなにも大きくする必要があるのかってくらい、無意味な程大きい。
玄関…というより、ホテルの入口だわ……。
御屋敷は百人くらい住めちゃうんじゃないかってくらい大きい。
ホテルだよ、もう。
こんな家に三人だけでどうやって住んでんの……?
「今日は呼び立ててすまないね」
私が目の前のあまりにも大きすぎる御屋敷に呆然としていると、前方から威厳のある声が。
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