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目を開けると、そこには 私の顔を覗き込む、一人の若い女の顔が有った。 「おわっ!」 目を覚ました私は、思わずビックリしてソファーから跳ね起きた! 「な、何で!ここにいるんだ?!」 咄嗟に頭に浮かんだ疑問を口にする。 「き、君は確か、仕事を終えて、さっき帰宅したはずじゃ…」 「課長!せっかく心配してあげたのに、そんな言い方って無いんじゃないですかぁ?もうっ!」 彼女が口を尖らせた。 「帰る途中でロッカーにスマホ忘れたのに気付いて会社に戻って来たんですよぉ!そしたら、こんな遅い時間なのに応接室の明かりが点いてるものだから、ちょっと気になって」 ここは、会社の応接室。 私の顔を覗き込んでいたのは、部下の立花君である。 腕時計を見ると、夜の九時になっていた。 「そ、そうだったのか! それは済まなかったね。いやぁ、残業してる最中に急に眠くなっちゃってさぁ。スマンスマン」 と、私は頭をかきながら彼女に詫びた。 今夜… 私は、会社に一人居残って帳簿のチェックなどをしていたのだ。 で…そうこうしているうちに、急に睡魔に襲われ、ほんの仮眠のつもりで応接室のソファーに横になったのは良いが… いつの間にやら、本格的に眠ってしまったようだ。 「もう、課長ったら! こんな所で寝てたら、風邪ひきますよ!素敵な奥さんに心配かけちゃダメじゃないですか!」 やれやれ…。 私の妻…恵美子は、私が言うのも何だが、確かに素敵な女性だ。 彼女は、いつも夫の私を立ててくれるし、家事も毎日きっちりやってくれる。 私にとっては、もったいないくらいの妻である。 私と妻がラブラブだと言う事は、会社内でも結構有名みたいだ。 「いや…実は今夜、恵美子はウチにいないんだよ」 と、私は肩をすくめて見せた。 「あ…。 もしかして、例のご旅行ですか?」 立花君が興味津々な様子で言った。
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