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「菜々子さん、こんにちは。
ご無沙汰しています」
怜斗の母親を普段は“菜々子さん”と呼んでいる。
初めて挨拶した時、「おばさんと呼ばれるのは嫌」と駄々をこねられてしまい、半強制的にそう呼ぶよう言われたのだ。
おしとやかそうな雰囲気とは別に、こんな茶目っ気たっぷりな一面もある。
見た目は実年齢より若々しく、美人で優しい菜々子さんの笑った顔は怜斗にそっくりだ。
「突然すみません」
「ううん、全然いいのよ。
健くん、元気にしてるかなって気になっていたし、会えて嬉しい。よかったら上がって。今お茶入れるね」
「いえ、ここで大丈夫です。
すぐ終わりますので…。
今日は菜々子さんにお尋ねしたいことがあって来ました」
真剣な表情を向けると、菜々子さんの動きが止まった。
「私に?」
「はい、怜斗のことで」
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