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『……健、俺。
留守電で悪いんだけど、早く報告したくて。
俺、近々葉瑠にプロポーズしようと思ってるんだ。
緊張するけど、頑張るわ。
また連絡するな』
その報告は今でも鮮明に覚えている。
サークルの飲み会帰りの途中に聞いた留守番電話。
その声の主、楢崎怜斗は瞬時に俺の酔いを覚ました。
「マジ!? ついにか!」
深夜二時、県内一の繁華街。
週末の土曜日は、平日に比べると人通りが多く、いつもより多くの人で賑わっていた。
すれ違う人たちが俺の顔をじろじろ見ながら、“なんだ?”と、首を傾げている。
一種の酔っ払いだと思われてしまうほど、俺の声は目立っていたらしい。
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