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好きだ。
その一言がこんなにも難しいなんて。
このままではいたずらに時間が過ぎていくだけだ。
…早く告わないと。
19時を過ぎた頃、無理やりPCをシャットダウンすると帰る支度に取り掛かった。
「え、なに。
健もう終わったの?」
定時は当たり前に過ぎているというのに、隣のデスクから飛んできた矢野先輩の言葉は、いかに自分たちが会社に身を削られているのかがわかる。
「いや…。もう家に持ち帰ります」
「ふーん。
なんか大切な用事?」
「…そうです。
すいません、お先に失礼します」
オフィスを出てエレベーターに乗り込んだ。
スマホに表示された彼女の携帯番号を見つめながら1階へ到着するのを待つ。
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