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第1話『ようこそ、自喰村へ』
指を切り落とすことには、慣れた。
人間というのは、非常に恐ろしい生き物だ。
地球上ですべての生物の頂点に立てた理由がわかる。
この環境適応能力がそうさせてくれたのだろう。
俺は止血帯できつく縛った左手の中指を断裁機に置いた。
断裁機のレバーをそっと握る。
テーブルの上に置かれた蝋燭の火だけがこの部屋を照らす。
炎が揺れるたびに、裁断機の上の中指が暗くなったり明るくなったりする。
そして、勢い良くレバーを引いた音が、狭い部屋の中で残響した。
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