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「それー! いっけー!」
「ボロ船をどんだけボロにしてもよぉ、結局はボロ船だぁな」
「バカ言え、俺の船を傷だらけにした分は倍にして返すぞ」
「ボロをよりボロにするとは哲学的ですね。 ワタクシ感服しました」
ゴシャーッ!
ゲッチンゲン号の操船台が木っ端に吹き飛び、全員で歓声を上げていると、船倉からマリアルがヒョコッと出てきた。
「騒がしいと思ったら、何してンの坊ちゃん達?」
「けしからんケットシーに対する、天誅と脅しの呼び水だ」
「はいはい、どーせまた魔術で悪戯してるンっしょ」
流石はマリアル、良く心得てるじゃないか。
懸案だった船体への浸水は無いと聞きかされ、ひと安心-- あの程度ではビクともしない船だと思ってたけど。
次いで、提督に合図し増速と右からの接舷を要請する。
「了解しましたマエストロ。 前進一杯で右前方へ進出、取舵で一気にゲッチンゲン号の右舷に付けます」
「さて、いよいよお縄の時間だぞ。 向こうに乗り込む準備をしろ」
「アワワ、アワワワ…… ワタクシはどうすれば良いでしょう?」
「ビチビチはこっちで留守番だ。 ナコルは提督の側で番犬をしてろ」
「あ? こちとら犬じゃねーんだよ」
「じゃあ番猫だ。 マリアル、ちゃんと騎士装具を準備しておけよ」
「えー、面倒じゃん。 向こうにはケットシーひとりしか乗ってないンっしょ、レピアだけで良くない?」
「防御力皆無とか危ないだろ…… あと、アリシアだが」
「なになに!?」
「お前は絶対に余計な事をするな」
「もう! 失礼しちゃうなぁ!」
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