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「どうやら、1階に職員室があるみたい」
「ほんと?」
彼が後ろで顔を覗かせながら言う。
「うん。このフロア全体、全部で3階まであって、今いる所が2階と言った所かな」
「何だか広いね、僕、迷いそうだよ」
「まっ、とりあえず職員室に行ってみよう」
「でも、黒い奴が下でウロウロしてるって言ってたよね」
「そういえば!」
すっかり狂者の存在を忘れていた私は、とりあえずそいつをどう職員室から引き離すか。と言う考えもすることになった。
「てことは、まだ下には行かない方が良さ気だよね」
「今の所は、ね。でも、今は2階を一通り探索したいかな」
「んー、そうだね。どこから行ってみる?」
じーっと見取り図を見ながら言う。
「理科室なら何か使えそうなものあるかな」
「理科室ね!」
そこなら使えそうなものも、あるかもしれない。
「まっ、とりあえず行こうか」
コクリと頷くと、『2―1』を後にした。
*
見取り図を頼りに、私達は廊下を歩いていると、左側に階段が見えた。しかし、颯爽と通り過ぎる。なぜなら、何の装備無しに降りて狂者に出くわすのは危険行為と判断したから。
そして、美術室の前を通り、目的地の理科室に着くと、私はおもむろに扉の取っ手を横に引いた。すると、鍵はかかってなかったみたいで、ガラガラと開けることができた。
右側には大きなガラス棚があり、その中には実験器具が所狭しに置かれていた。でも、鍵がかかっているせいか、開けることができない。どこにあるんだろう。その奥に見えたのは人体模型。左側は生徒が座りそうな木の椅子にシンク付きの実験台。その奥は真っ暗のせいか、何も見えなかった。
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