剣士と黒猫

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剣士と黒猫

▼▼▼▼▼ 航海に猫は欠かせない。 大航海時代の到来により、富、名声、そして好奇心、様々な想いが人々を未知の世界へと駆り立てたその時代から、猫は船に欠かせない存在であった。 単に命を賭けた危険な航海を、むさ苦しい男ばかりで過ごさねばならないストレスを慰める愛玩(あいがん)動物としての役割ばかりではない。長期にわたる航海には付き物のネズミの発生、それによる食料への被害や伝染病媒介(ばいかい)の誘発は、船にとっては生死を左右する深刻な災害であった。ネズミを捕る猫は、その意味でも航海の守り神となった。 時は流れ、極東の小さな列島、日本を目指す船団を指揮するペリー提督の旗艦(きかん)ミシシッピ号にも、一匹の奇妙な黒猫が乗っていた。 これはこの黒猫と、彼が行き着く異国で出逢う事となる、ある青年の物語。
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