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坂下亜里沙がバイト先に来た日の夜のことは、一週間たった今でも思い出すと生々しく感触がよみがえってくる。
雄聖の家のお風呂場で抱かれた後は、ベッドの上でもう一度抱かれた。
その日は何度達したか覚えてない。
激しく抱かれたが、決して乱暴でなく、際限なく雄聖は私の身体を翻弄した。
何度も名前を呼ばれ、好きだと言われた。その時の雄聖のまなざしを思い出しては身体が熱くなる。
雄聖が達するときは、苦しそうに歯を食いしばる。達しそうになると、私は雄聖の唇をふさぎ、そのすべてを解放する。
身体の相性がいい、初めて寝た後に雄聖が言っていた言葉だ。本当にそうなのかもしれない。
雄聖が私だけというならそれを信じよう。
雄聖の優しさが私だけ向むけられいることを私は知っているから。
学校帰りに、本屋へ寄った。
本屋へ寄るのは習慣だ。
本の匂いは落ち着く。店内をぐるりと一周して、新刊コーナーにたどり着いた。
「こんにちは!!」
平積みにされた新書をチェックしていると、誰かから話しかけられた。
声がしたほうを振り向くと、坂下亜里沙だった。
なんで、彼女がここに?
たわいもない挨拶をしながら、動揺を隠す。こんな所でばったり会うなんて。もちろん大学が近いから、可能性がないわけではないけど。
頭の先からつま先まで完璧でスキのない容姿。背中の中ほどまである栗色の髪は念入りにケアされていることが分かる。
均整のとれたボディラインは、服の上からでもわかる。形のいい脚が、短めのフレアスカートからのぞく。
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