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コイツくらいか。
肉球が羨ましい!
「にゃあ」
くうっ!虎の天然毛皮も羨ましい!!
「なあーん」
「タマちゃんずるい!私雪国育ちなのに」
カナさん。ほら、立って。
あー雪まみれになっちゃって。
カナさんと雪の払いっこしてるうちに、カナさんがそっかあと声を上げる。
「この雪、金沢のと似てるかも」
普段、こちらの雪はあんまり水分がなくてサラサラ。靴にくっつくと、中々とれない。
その代わり、払ったらすぐ落ちる。
「北陸は水分の多い雪なの。おっきいし、すぐにべちゃべちゃになる。
すんごく滑りやすいのよ、初雪。
水っぽいから夜から朝は凍るし。
真冬になって気温が下がりすぎるとさらっとした雪になるけど、その頃には皆慣れるから」
コケたりしないって?
そんなにコケたの悔しかったの?
ほんと負けず嫌いだな。もう必死で言い訳してる。
タマ、ほおら見てごらん。
この真っ赤になったお姉さん。
お前もオスだからな。
彼女にするなら、こういう意地っ張りの、そのくせ思ってることが素直に顔に出る、可愛い姉さん女房見つけるんだぞ。
「直人、遅刻しちゃう」
あ、そうだった。
会社!
『キラリーン、キラリーン』『リリン、リリーン』
同時に鳴る携帯。
「「はい」」
お互い背を向けて、電話を受けること5分。
ふう。
向き合って
「「直人」「カナ」」
「「私、遅出」「俺、午後出勤」」
上からと下からで視線を絡めて。
「取り合えず、部屋戻ってカフェオレでも飲もうか、カナ」
「そうしよっか」
二人してオウチに逆戻り。
まあ、この分じゃ電車も動かないだろうしね。
部屋でニュース見よ。
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