目が覚めたら、初雪

4/15
148人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
コイツくらいか。 肉球が羨ましい! 「にゃあ」 くうっ!虎の天然毛皮も羨ましい!! 「なあーん」 「タマちゃんずるい!私雪国育ちなのに」 カナさん。ほら、立って。 あー雪まみれになっちゃって。 カナさんと雪の払いっこしてるうちに、カナさんがそっかあと声を上げる。 「この雪、金沢のと似てるかも」 普段、こちらの雪はあんまり水分がなくてサラサラ。靴にくっつくと、中々とれない。 その代わり、払ったらすぐ落ちる。 「北陸は水分の多い雪なの。おっきいし、すぐにべちゃべちゃになる。 すんごく滑りやすいのよ、初雪。 水っぽいから夜から朝は凍るし。 真冬になって気温が下がりすぎるとさらっとした雪になるけど、その頃には皆慣れるから」 コケたりしないって? そんなにコケたの悔しかったの? ほんと負けず嫌いだな。もう必死で言い訳してる。 タマ、ほおら見てごらん。 この真っ赤になったお姉さん。 お前もオスだからな。 彼女にするなら、こういう意地っ張りの、そのくせ思ってることが素直に顔に出る、可愛い姉さん女房見つけるんだぞ。 「直人、遅刻しちゃう」 あ、そうだった。 会社! 『キラリーン、キラリーン』『リリン、リリーン』 同時に鳴る携帯。 「「はい」」 お互い背を向けて、電話を受けること5分。 ふう。 向き合って 「「直人」「カナ」」 「「私、遅出」「俺、午後出勤」」 上からと下からで視線を絡めて。 「取り合えず、部屋戻ってカフェオレでも飲もうか、カナ」 「そうしよっか」 二人してオウチに逆戻り。 まあ、この分じゃ電車も動かないだろうしね。 部屋でニュース見よ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!