8年目+2週間

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そのとき。 …カチャン 物音がした。 重そうな足音までも。 そっか、テレビの音が無いと結構、 近隣の音がハッキリ聞こえるんだな などと感心していると、 …カチャリ リビングのドアが開き、誰かが顔を出す。 驚き、クッションを抱え口を塞ぐ。 そうしなければ、叫び出しそうで。 その人は、当たり前のように入って来て、 私に向かってこう言う。 「なんだよ。元気そうじゃないか。 心配しすぎなんだよ、お前の姉貴」 『は?』と問い返した声は、 クッションに吸い込まれたようだ。 待って、どこかで見覚えがあるような…。 切れ長で意志の強そうな目。 それとは対照的に、柔らかく微笑む唇。 長身で、嫌味なほどに整ったその姿。 っていうか義兄さんに似てるよね? あ、そっか、義兄さんの弟だ!! 確かとっても好印象で、 結婚式の際、新婦側の親族控室に、 キレイな薔薇の花を贈ってくれて。 >これからは兄ともども、 >宜しくお願い致します。 とかメッセージカードが添えてあって、 私とお母さんは大喜びしたんだ。 あ、もしかして義兄さんの荷物を 取りに来たとか?
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