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真宮の周りの炎が三つ、四つと増えていき、店長達の方へ降り注ぐ。
「うおぉおお!」
店長は叫びながら、団三郎を担いで狭い部屋を走り回る。
「真宮さん熱い! 熱いよぉお!」
巻き添えを食い山神は炎に焼かれている。
「無茶するじゃねえか。確かに、狸や人間なら消し炭だろうな。そのちんけな炎が当たればな」
そう言ってカイエンは刀を抜く。
「それでボクを斬るのかい?」
「いや、引き寄せるんだよ。邪魔な炎をな」
真宮の周りの炎が刀に集まる。
「馬鹿な! ボクの炎を……。その刀は!」
「親父からくすねた刀さ。この刀は、食い意地が張っててな何であろうと引き寄せる。大顎(おおあぎと)それが、こいつの名だ」
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