記憶に残るキスの味

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「……課長?」 その時にはもう、課長は後ろ姿でデスクに戻っていく途中だった。 私は呆然とそれを見送りながら、頭の中では今のセリフがぐるぐるぐるぐるとリフレインしてて止まらない。 『女度、ないこともないと思うぞ』 時間差で、ボンっと頭が沸騰した。 な、な、な、何、今の、頭ぽんってされた! 私慰められたのかな! 女度、ちゃんとあるってこと?! や、でも。 無理したら気色悪いとも言われた。 抑々、ないこともない、ってどういうこと、あるのないのどっち? 課長! どっちですかあ! コピー機が、がーがしょん、がーがしょん、と鳴り続ける。 その音が止まる頃まで、私の頭の中は混乱し続けたのだった。
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