第一話 修平と勝利

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俺は、一気に股間に充血しつつあった熱が冷めて行くのを感じた。 何で、自分の理想とする恋愛関係を維持する事が、こんなに困難なんだろうか? やっと17歳になろうとする女子高生相手に、何をそんなに戸惑ってんだ 俺が二十歳過ぎたオトナだからか? 俺がヤクザだからか? 俺がもし、同い年だったら? 俺がもし、堅気だったら? 俺とお前って、今頃、どんな関係だった? じゃねえ、慶子に『夜の店』とやらの説明と、そこに俺がこれから行く事釈明しなきゃなんねえだった。 「あ、アルコールを提供しつつ、女性が男性をもてなす店だ。……せ、接待だから」 「あのね、私も高校卒業したら行っても良いんだって」 「駄目だ!! ぜってぇえ、連れてかねぇ!」 俺の言葉に慶子は顔を顰める。 「褒めたり怒ったり、今日は変だよ」 そりゃ、慶子の身になってみりゃ無理ない事だと、罪悪感が芽生える。 修平に騙されて変な本読んで、俺に変な真似して怒られて、嫌がられて、せっかくいつも通りアホ可愛いままでいる罪のないアホやってるだけの慶子を戸惑わせて、可哀想じゃねえか。 ( ってか、何時だよ。2時間しかねえデートだぞ )  それも、行き帰りの時間含んでの2時間だ。 もう9時過ぎてやがる。 「もう、店入らねえと、門限間に合わないだろ」 「ん~ん、良いの。ねぇ、邦仁さん。 あのね、修平さんが言ってたの」 慶子はそう言って、俺の胸に顔を埋めて、小さく呟く様に続けた。 「朝まで私と過ごすなら、今日は邦仁さん、夜のお店行かなくても良いんだって」 慶子は、俺の手を掴んでトレーナーの中に入れた。 滑らかなウエストラインを俺の手を撫で上げさせて、ブラジャーの上に押し当てた所で顔を上げ、キスをして来た。 「他の女の人のとこに行かないで、私がいるのに」 頭が真っ白になったが、いつもなら、男性本能に身を任せて夢中で女を求める俺が、指一本動かせず固まっていた。
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