第一話 修平と勝利

9/11
41人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「邦仁さん、どうしてそんなに怒ってるの?」 「い、今読んだ本ナシだ! 良いか、忘れろ!」 慌てる俺に慶子は首を傾げながら、俺の肩を抱き締めて言った。 「変な邦仁さん。私、まだ何も分からないんだから、ちょっと位本で勉強したって良いと思うの? だって、男の心を掴むのは料理と色気と、キセイジジツって、吹き出しに書いてあったんだけど、まず、キセイジジツって、何だろうって? まず、この四文字熟語なんだけど、この読み方で合っているのかさえ、私分からなくて」 ( あながち間違ってねえけど、その四文字熟語が掴むのはハートじゃねえ、男の責任だ! チクショウ! ) 俺が、呆れて口をパクパクさせていると慶子が、また口を尖らせて来た。 「あぁ、私の事、四文字熟語も録に読めない、言葉知らずだと思ったでしょ!!この前、漢検準2級受かったのに悔しいな」 「はあ! お前、そんなの受けてんの?」 「いけないの?」 「早く言えよ。 頑張ったな」 思わず、慶子の頭を撫でたら、猫の様に喜んで笑った。 「なんだ。 誉めて貰えるなら、受かった時に言えば良かった。 ふふ。 ありがとう。邦仁さん」 ( 修平の入れ知恵と元の天然が混在してて、余計にカオスだ!! ) 慶子の足が俺の足に絡んでいるのと、俺の胸と腹に密着する慶子の上半身の感触と光景に、俺の体は熱くなるばかりだった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!