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ゆう子さんも俺に気持ちが向いてると思っていたのに。
「ゆう子さん、最近、おかしいんだよ。よそよそしいなと思ったら、避けられるし、理由聞いても教えてくれないし・・・もう、フラれたようなもんだよ」
「・・・避けられてる?」
「3人で飲んだちょっと後だったかな?家に来なくなったし、誘われなくなった。頻繁に行き来があったわけじゃないけど・・・俺の気持ちに気づいてるっぽいんだよな。だけど・・・」
はぁ・・・とため息をつく。
「もしかして・・・」
龍太の顔が青ざめる。
「・・・どうした?」
「俺・・・余計なことを言ったかもしれない」
龍太がでかい図体で泣きそうな顔をする。
龍太はあの日、俺のことが本気でなければ、期待させないでくださいとゆう子さんに言ったそうだ。
「なんでそんなこと・・・」
龍太がでかい身体でおろおろと説明する様子を見ると、怒りたい気持ちがそがれてしまった。
「だって、いつか、離れ離れだろ?」
龍太が悲しそうに言う。
「・・・龍太。俺、行くわ」
バイクの鍵を掴む。
「お前、飲んでるだろ?」
「あ、そうだった」
「落ち着けよ。俺、飲んでないから、後ろに乗れよ」
龍太が、立ち上がり、俺が握っていたバイクの鍵を奪い取り、テーブルの上に置く。
「いこーぜ」
俺のヘルメットを脇に抱え、部屋を出ていくのに、俺も続いた。
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